「正しい考え方をする人はセクシー」、そのセクシーの意味って?韓国コンドームブランド「パルンセンガ」が伝えたいこと
「正しい考え」を意味する韓国語「パルンセンガ」という名前のコンドームブランドがあります。日本円にして13億円以上を売り上げ、国内のコンドームブランドで一番支持される人気者です。
なぜそこまで同ブランドが支持されるのか? 会社が認知度調査をしてみると、その理由は「ブランドメッセージが好きだから」「ブランドイメージが好きだから」という意見が圧倒的。
そのメッセージとは、SMART IS SEXY。「正しい考え方をする人はセクシー」というもの。
英語でセクシーという意味には、日本語に浸透している意味と別の意味もあります。魅力的、興味をそそる、関心を引くーーどれもとてもポジティブな意味です。(余談ですが、BTSのメンバーRMが知的なことから、韓国内で"脳セクシー男子"と呼ばれているのはこのためです)
韓国の性意識をポジティブに!
日本も他人事ではない「性は恥ずべきもの、隠すべきもの」という歪んだ意識。タブーなトピックとして扱われてきたうえ、形式的であり続ける性教育を変えるべく立ち上がったのがパルンセンガです。
「OECD加盟国のなかで中絶率1位(2005年)、コンドーム使用率最下位国」ーー
韓国には、そんな過去がありました。その汚名を洗わねばと立ち上がった代表。韓国の生産力を基盤に、魅力的なコンドームブランドがあれば、社会に一石を投じることができるのではないか? 2013年、パルンセンガが生まれました。
パルンセンガは、肯定的でポジティブな性認識を促し、健康なセクシュアルライフスタイルを提案。収益金の10%を実用的な性教育コンテンツを制作·配布に利用します。
「性は隠さなければいけないものではない。コンドームを使うことは、安全なセックスを目指す正しい方法である」というメッセージを伝えるため、ブランドが行ってきた活動の一部をここで紹介しますね。
ポップなデザインでハードルを下げる
ブランドがまず注力したのはパッケージデザイン。刺激的なイメージだけに包まれた既存のコンドームとの差別化を試み、消費者が商品を購入する上での心理的ハードルを下げることに成功しました。カラフルで、スタイリッシュなデザインが消費者の心を掴んだのです。
最近では、韓国の人気ブランドMUZIKTIGERやドラマ化されたマンガ『ユミの細胞たち』とコラボして、ポップな柄のコンドームを販売。手に取りやすいデザインが話題です。
コンドーム以外にも、パルンセンガはセクシュアルアイテムを販売。インテリアの一部に溶け込むようなデザインも多いです。こちらは、キャンドル形のボディオイル。
火をつけると、キャンドルのろうの部分がマッサージオイルに大変身。通常のキャンドルとは異なるので熱くなく、ムードを作りながらカップルのコミュニケーションに役立てます。
顧客に寄り添うキャンペーン
パルンセンガはコンドーム販売だけでなく、国民の意識を把握するため20〜30代の男女を対象に隔年周期で性文化の変化を記録。本当によりよい社会、意識作りのために動いている企業です。
さらに、FITTING ROOMというキャンペーンでは、前代未聞のコンドームの試着を実施。試着といっても、コンドームも直接使ってみて、自分に合った製品を選ぶことが目的。アンケートに答えると、サンプル6種がもらえる、という仕組みです。
また、オフラインイベントをおこない、顧客層であるMZ世代(1980年代半ばから1990年代初頭に生まれた「ミレニアル世代」と、1990年代後半から2010年の間に生まれた「Z世代」)と直接コミュニケーションしながらブランドを紹介する空間を設けました。開放的な雰囲気で、セクシュアルブランドと消費者の心理的障壁を取り除きました。
人気韓国ウェブドラマシリーズ「PLAYLIST」とコラボ
ほかにもパルンセンガは、韓国のウェブドラマといえば!の「PLAYLIST」のなかから作品『うまくなりたい』とコラボ。10代の恋愛、勉強、友人関係などの悩みに加え、これまでタブーとされてきた性の悩みを描き、若者に寄り添いながら、ポジティブな性教育につなげました。
放送時にはドラマとコラボしたアイテムも販売し、より若い世代へのリーチに成功!
性について話題にすることやセクシュアルアイテムを購入することを恥ずかしく思ったり、タブーとしたりする風潮はもう終わり。
韓国では35万件(2015年)→5万件(2018年)と、中絶による推定件数は7分の1に減少しています。近年目立つポジティブな性意識への流れをパルンセンガが後押ししているのは確か。ヘルシーでポジティブなセクシュアルライフのために、パルンセンガの活動は続きます。